多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズ

多焦点眼内レンズとは?

多焦点眼内レンズとは?

多焦点眼内レンズは、白内障手術で使用される特殊な人工レンズです。従来の単焦点眼内レンズと異なり、遠距離と近距離、さらには中間距離にもピントを合わせることができる設計になっています。これにより、術後の眼鏡依存度を大幅に軽減することが可能です。

白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、代わりに人工のレンズを挿入します。多焦点眼内レンズを選択することで、より快適で自然な視力回復が期待できます。

多焦点眼内レンズの特徴

多焦点眼内レンズには以下のような特徴があります。

複数の焦点

遠距離、中間距離、近距離の3つの焦点を持つものが一般的です。これにより、様々な距離の物体をはっきりと見ることが可能になります。

眼鏡依存度の軽減

日常生活のほとんどの場面で、眼鏡なしで過ごすことができる可能性が高くなります。

多焦点眼内レンズの注意点

多焦点眼内レンズの注意点として以下のような点が挙げられます。

光のにじみや輪状のぼやけ

夜に照明灯などの光を⾒るとまぶしく⾒える「グレア」や、光の周りに輪が⾒える「ハロー」、光源から散ったような光が⾒える「スターバースト」などを感じることがあります。多くの場合、時間とともに気にならなくなりますが、一部の方は不快に感じる場合があります。

コントラスト感度の低下

単焦点レンズと比べて、コントラスト感度がわずかに低下する可能性があります。

適応に個人差がある

すべての方に適しているわけではありません。目の状態やライフスタイルによっては、単焦点レンズの方が適している場合もあります。

追加費用

単焦点眼内レンズを使⽤する⽩内障⼿術は保険診療で⾏われますが、術後の眼鏡装⽤率の軽減を⽬的とした多焦点レンズを使⽤する⽩内障⼿術は、厚⽣労働省が定める選定療養の対象となっています。
選定療養とは、患者さんご⾃⾝が選択して受ける追加的な医療サービスです。通常の⽩内障⼿術に含まれる範囲は保険診療で⾏われ、多焦点レンズに係る追加の費⽤は⾃⼰負担となります。⼿術前後の診察、検査、薬剤等の費⽤は、通常の保険診療となります。

※保険適用のものもあり

単焦点眼内レンズとの違い

単焦点眼内レンズとの違い

単焦点眼内レンズは1つの距離にのみピントが合う設計で、保険適用となります。一方、多焦点眼内レンズは複数の距離にピントが合いますが、選定療養として追加費用が必要です。

単焦点レンズは、コントラスト感度に優れ、夜間の見え方も自然です。多焦点レンズは眼鏡依存度を下げられる可能性が高いですが、光のにじみなどの症状が出ることがあります。

患者さんの目の状態やライフスタイル、希望に応じて、どちらのレンズが適しているかを慎重に検討する必要があります。

多焦点眼内レンズと単焦点眼内レンズの主な違いは以下の通りです。

焦点の数

  • 多焦点:複数の距離にピントが合う
  • 単焦点:1つの距離にのみピントが合う

眼鏡依存度

  • 多焦点:日常生活での眼鏡依存度が低い
  • 単焦点:特定の距離以外では眼鏡が必要

夜間視力

  • 多焦点:ハロー・グレア・スターバーストが生じる可能性がある
  • 単焦点:自然な見え方

コントラスト感度

  • 多焦点:やや低下する可能性がある
  • 単焦点:良好

適応範囲

  • 多焦点:ライフスタイルや目の状態によっては不適な場合がある
  • 単焦点:ほとんどの方に適応可能

保険適用

  • 多焦点:選定療養(追加費用が必要) ※保険適用のものもあり
  • 単焦点:保険適用

多焦点眼内レンズが適している方

多焦点眼内レンズが適している方は、次の通りです。

できるだけ眼鏡を掛けたくない方

仕事や趣味の関係で、できるだけ眼鏡を掛けたくない方に適しています。

活動的な生活を送る方

スポーツや旅行を楽しむなど、活動的な生活を送る方にとって便利です。

細かい作業と遠くの視力の両方が必要な方

読書やパソコン作業と、運転や景色を楽しむことの両方を大切にする方に適しています。

当院で取り扱う多焦点眼内レンズ

当院では、以下の3種類の多焦点眼内レンズを取り扱っています。患者さんの目の状態やライフスタイルに合わせて、最適なレンズをご提案いたします。

クラレオン パンオプティクス(Clareon PanOptix)

  • 光学部デザイン:回折型
  • 焦点の特性:3焦点(遠距離、60cm、40cm)
  • 主な特徴:他社の3焦点レンズは「遠距離・80cm・40cm」で中間が80cmにピントのピークがあるのに対し、パンオプティクスは「遠距離・60cm・40cm」と中間は60cmにピントのピークが設定されており、40~80 cmの連続した焦点距離の見え方の質が良いとされています。
  • 得意な作業:遠方から中間、そして実用的近方距離までスムーズに連続して見える
  • 夜間の見え方:ハロー・グレアは少なめ
  • 日常生活での性能:読書◎、PC作業◎、ゴルフ◎、夜間運転〇
  • 乱視矯正:乱視矯正レンズあり

クラレオン ビビティ(Clareon Vivity)

  • 光学部デザイン:波面制御型
  • 焦点の特性:遠距離~50cm
  • 主な特徴:独自の波面制御により焦点深度を拡張させ、優れた遠方視と中間視および実用的近方視を提供します。これにより手術後の眼鏡依存度の軽減が期待できますが、細かい字を読む場合等に近方用の眼鏡が必要になる可能性があります。また、暗所でのハロー・グレアは単焦点眼内レンズと同程度まで軽減されているため、夜間運転が必要な方や暗いところでの作業が多い方などにも適しています。
  • 得意な作業:運転・夜間運転、PC作業
  • 夜間の見え方:ハロー・グレアはほぼなし
  • 日常生活での性能:読書△、PC作業◎、ゴルフ◎、夜間運転◎
  • 乱視矯正:乱視矯正レンズなし

テクニス シナジー(Tecnis Synergy)

  • 光学部デザイン:ハイブリッド回折型
  • 焦点の特性:連続焦点(遠距離~35cm)
  • 主な特徴:高いコントラスト感度を維持しながら、約35cmから遠方までの連続的にピントが合う
  • 得意な作業:日中の運転・スポーツ
  • 夜間の見え方:ハロー・グレアはややあり
  • 日常生活での性能:読書〇、PC作業◎、ゴルフ◎、夜間運転△
  • 乱視矯正:乱視矯正レンズあり

テクニス オデッセイ(Tecnis Odyssey)

  • 光学部デザイン:ハイブリッド回折型
  • 焦点の特性:連続焦点(遠距離~35cm)
  • 主な特徴:同社より発売されている3焦点型多焦点眼内レンズ テクニス・シナジーの後継に位置付けられます。テクニス・シナジーの良好なコントラスト感度を維持しつつ、ハロー・グレアといった異常光視症の改善がなされ、術後の屈折誤差を抑える処理が追加されています。ただし手元の見え方がテクニス・シナジーに比較してやや不十分である可能性があり、近方を重視する方の場合には注意が必要です。
  • 得意な作業:近方33cmから中間距離、遠方まで連続してより自然な見え方が可能
  • 夜間の見え方:ハロー・グレアはほぼなし
  • 日常生活での性能:読書△、PC作業◎、ゴルフ◎、夜間運転◎
  • 乱視矯正:乱視矯正レンズなし

保険適用の多焦点眼内レンズもご用意

当院では、保険適用となる特殊な眼内レンズもご用意しています。これらのレンズは、従来の単焦点眼内レンズよりも広い範囲にピントを合わせることができ、多焦点眼内レンズの利点を一部取り入れています。

日本で保険適用となっている多焦点眼内レンズには、以下のようなものがあります。

  • テクニス アイハンス
  • レンティスコンフォートなど

これらのレンズは、保険適用のため追加費用なしで利用できるのが大きな特徴です。

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